自然のうつろいに寄り添いながら、ひとつひとつ、手間ひまを重ねて育てるお米。
命を紡ぐその営みは、今年もまた、静かに巡っていきます。

自然のうつろいに寄り添いながら、
ひとつひとつ、
手間ひまを重ねて育てるお米。
命を紡ぐその営みは、今年もまた、
静かに巡っていきます。

雪がとけ、山の水がやわらかく流れはじめる頃。
今年もまた、お米づくりの季節がやってきます。

まだ見ぬ稲穂の姿を想像しながら、
私たちの春のしごとは、そっと始まります。

去年、たしかに実ったお米。
食卓に並ぶものと同じその一粒を、
殻ごと眠らせて籾(もみ)のまま保管し、
春になったら、命の芽吹きをうながします。

今年も、どうかいい苗になりますように。
しっかりと根を張って、たくましく育ちますように。

お米づくりの一年が、ここからまた静かに始まります。

苗がしっかりと育つ頃、田んぼの準備も整います。
土を起こし、水を張り、平らにならして──
手間を惜しまぬその工程を「代かき」と呼びます。

こうしてようやく、苗を田んぼに植える日がやってきます。
田植えは、命を田んぼに移す、大切な日。
一列ずつ、まっすぐに植えられていく小さな苗は、
まだ細く、やわらかく、風にそよぐほどの頼りなさ。

けれど、ここからが本番。
太陽の光を浴びて、水の中で根を張り、
苗はぐんぐんとたくましくなっていきます。

田植えが終われば、農家のしごとは「育てる」から「見守る」へ。
だけど、ただ待つだけではありません。

水の深さを日々調整し、
稲にとって最適な環境を保っていくのです。

暑さ、湿気、時には害虫や病気も訪れます。
それらを見逃さぬよう、田んぼに足を運ぶ日々。
稲たちが、静かに力強く育っていくようすを見ながら、
農家は、自然の声に耳を澄ませ続けます。

夏の空の下、青々とした田んぼが風に揺れはじめる頃。
稲はまっすぐに茎を伸ばし、その先に小さな穂をつけます。
これを「出穂(しゅっすい)」という。

穂のなかには、小さな小さな花が咲きます。
白く、儚く、たった数時間しか咲かないその花たちは、
ひっそりと受粉を終え、新しい米粒のもとを育て始めます。

気温が高すぎても、雨が続いても、
この短い期間の受粉がうまくいかなければ、実りは減ってしまう。
だからこの時期の田んぼには、張りつめたような静けさが流れます。
稲たちが無事に実を結びますように──
そんな想いで、ただ、見守るのです。

太陽の光をたっぷり浴びて、穂の中の一粒一粒が、ゆっくりとお米になっていく時間。
緑だった穂がだんだんと黄金色に変わり、やがて、稲穂は頭を垂れていきます。

そして、ついに収穫の時がやってきます。
見渡すかぎりの田んぼが黄金色に染まり、風にそよぐ稲穂たちは、確かに「実った」と語ってくれます。

コンバインで一列ずつ、稲を刈り取っていく作業。
乾燥させ、籾をとり、米粒へと仕上げる工程へ。
収穫はゴールではなく、「食べもの」へと変わっていく始まりでもあります。

何度経験しても、収穫の喜びには特別なものがあります。
ひと粒の籾から、こんなにもたくさんの実りが生まれること。
自然の力と、手間ひまの積み重ねのすべてが詰まっていること。

雪がとけ、山の水がやわらかく流れはじめる頃。
今年もまた、お米づくりの季節がやってきます。

まだ見ぬ稲穂の姿を想像しながら、
私たちの春のしごとは、そっと始まります。

去年、たしかに実ったお米。
食卓に並ぶものと同じその一粒を、
殻ごと眠らせて籾(もみ)のまま保管し、
春になったら、命の芽吹きをうながします。

今年も、どうかいい苗になりますように。
しっかりと根を張って、たくましく育ちますように。

お米づくりの一年が、ここからまた静かに始まります。

苗がしっかりと育つ頃、田んぼの準備も整います。
土を起こし、水を張り、平らにならして──
手間を惜しまぬその工程を「代かき」と呼びます。

こうしてようやく、苗を田んぼに植える日がやってきます。
田植えは、命を田んぼに移す、大切な日。
一列ずつ、まっすぐに植えられていく小さな苗は、
まだ細く、やわらかく、風にそよぐほどの頼りなさ。

けれど、ここからが本番。
太陽の光を浴びて、水の中で根を張り、
苗はぐんぐんとたくましくなっていきます。

田植えが終われば、農家のしごとは「育てる」から「見守る」へ。
だけど、ただ待つだけではありません。

水の深さを日々調整し、
稲にとって最適な環境を保っていくのです。

暑さ、湿気、時には害虫や病気も訪れます。
それらを見逃さぬよう、田んぼに足を運ぶ日々。
稲たちが、静かに力強く育っていくようすを見ながら、
農家は、自然の声に耳を澄ませ続けます。

夏の空の下、青々とした田んぼが風に揺れはじめる頃。
稲はまっすぐに茎を伸ばし、その先に小さな穂をつけます。
これを「出穂(しゅっすい)」という。

穂のなかには、小さな小さな花が咲きます。
白く、儚く、たった数時間しか咲かないその花たちは、
ひっそりと受粉を終え、新しい米粒のもとを育て始めます。

気温が高すぎても、雨が続いても、
この短い期間の受粉がうまくいかなければ、実りは減ってしまう。
だからこの時期の田んぼには、張りつめたような静けさが流れます。
稲たちが無事に実を結びますように──
そんな想いで、ただ、見守るのです。

太陽の光をたっぷり浴びて、穂の中の一粒一粒が、ゆっくりとお米になっていく時間。
緑だった穂がだんだんと黄金色に変わり、やがて、稲穂は頭を垂れていきます。

そして、ついに収穫の時がやってきます。
見渡すかぎりの田んぼが黄金色に染まり、風にそよぐ稲穂たちは、確かに「実った」と語ってくれます。

コンバインで一列ずつ、稲を刈り取っていく作業。
乾燥させ、籾をとり、米粒へと仕上げる工程へ。
収穫はゴールではなく、「食べもの」へと変わっていく始まりでもあります。

何度経験しても、収穫の喜びには特別なものがあります。
ひと粒の籾から、こんなにもたくさんの実りが生まれること。
自然の力と、手間ひまの積み重ねのすべてが詰まっていること。

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